
ペルソナ中心のUIデザイン

📖 この記事の内容
現場のデザインの仕事では、UIの良し悪しは「きれいかどうか」では判断されません。ユーザーの課題解決に貢献しているかどうかが、一つの指標になります。
そのためにどういうデザインをすればいいのか。実際にユーザーが利用するシーンを把握して、そこで直面している障壁や、配慮すると良いことから、理想のユーザーの行動をデザインすることが重要です。これは『About Face』という本の「ゴールダイレクテッドデザイン」という考え方を元にしています。
このトレーニングでやるのは、ユーザーの利用シーンをもとに、課題と配慮を使って、デザインするべき理想の状態をアイデアとして考える。そのUIデザインの流れを身につけることです。
UIデザインの目的は、機能ではなく、ユーザーが満足する体験をデザインするのがゴールです。機能デザインがゴールだと”動けばいい”判断になり、使う相手の状況や環境にあったデザインを行うことが困難になります。

ユーザーは機能が欲しくてサービスを使うわけではなく、「なりたい状態」というメリットを感じるからからサービスを利用します。UIや機能を触りたくて操作することはありません。 デザインで作るべきは機能そのものではなく、ユーザーが満足する体験のほうになり、これがUIデザインの基本になります。
そのため、ユーザーの利用シーンを軸に体験アイデアを発想する流れがデザインの基本になります。そこで見つけた課題と配慮をもとに「理想的な体験はなんだろう」を形にすることで、意味のあるUIをデザインすることに近づける考え方です。

この流れで整理していく「課題と配慮」「理想の状態と体験」がUIデザインの判断基準になります。この2つを満たすことがUIをつくる目的(課題解決やサービスの数値の改善)に結びつきます。
そのためUIだけの正しさや、見た目の良さではなく、それを使う人にとって意味があるのか?を判断基準に持ちデザインを進めることが可能になる、そんな基礎になります💡

現場のデザインは、「サービスを伸ばす・改善する」という目的の中で行われます。ユーザーの課題を解決できるデザインは、そのままサービスの価値につながるので、この流れで考えられることが現場での提案の力になります。
AIの話もあります。AIで「画面を作る作業」はどんどん速く・安くなっていますが、ソフトウェアの場合、本質的に「課題解決への貢献」が大事なのは変わってないと考えています。AIは使った方が良いけど、その先に価値づくりへの貢献・課題解決がないと、ツールが使えるだけの人と同じ感じになるんじゃないかな。
だからこそ、何を解くべきかを考えて方向性を決めるこの流れが、AIに作業を任せる時代の土台になります。

進め方は、大きく3ステップ。ユーザーの利用シーンをもとに進めていく流れになります。
↻ STEP3の改善点を持って、次のサイクルへ
このステップを何周も回すことで、抽象的な概念の整理と、具体的なプロトタイプを行き来することになります。こうすることで、どういう方向性が良いのかを、アイデアだけでなく具体的な体験で確認しながら検討できる。デザインの基本的な流れです。
この進め方で目指すのは、ユーザーが理想とする状態をデザインすること。そして、その状態の方向性を探索して決定することです。
なので、ここで作成するプロトタイプは答えではなく、アイデアの検討です。多くのパターンを出して確かめる、探索のフェーズになっています。
アイデアというのは、何もないところからいきなり出てくるものではありません。目的に付随した方向性と合致した中で出てくるものなんですね。
この流れは、利用シーンから見つけた「課題と配慮」という判断指標をもとに、方向性を固めていくことができます。思いつきやなんとなくではなく、「誰の、何のためにこれをデザインするのか」という指標を持ちながらデザインを進められる。それがこの進め方の良い点です。

このステップで手に入れるのは、アイデアを出すときの指針になる「課題」と「配慮」です。
出発点はユーザーの利用シーンです。当てずっぽうではなく、利用シーンの中でユーザーが「何を、なぜ、どう感じるのか」を把握してペルソナを形作ることで発見していきます。
デザインの基本は、ユーザーへの価値提供です。その価値を作るいちばんシンプルな考え方が、ユーザーの課題と配慮を使うことです。
そして課題と配慮は、利用シーンの中にあります。単純な「使いづらい」ではなく、心理的なハードルや、置かれている環境でのやりづらさのこと。それをどう取り除くか、どう後押しするかを考える材料になります。
ユーザー像を3段階で具体化していきます。

「仕事の合間に使うとき」だとまだ広すぎます。「平日の夜、寝る前にベッドで技術書を読んでいて、章の途中で手が止まったとき」くらいまで絞るのです。
広く取ったほうが安全に見えますが、逆です💡 場面が広いままだと、このあと課題が出てこなくなります。
その場面で、この人はどんな状態になりたいのか(ゴール)。そこに向かってどう動いて、そのとき何を考えているのか(行動フロー)。ここを書き出します。
コツは、動作だけ並べないこと。課題は動作ではなく、気持ちが止まる場所にあるからです。
行動フローを眺めて、気持ちが止まっている場所を探します。そこにあるのが課題です。あわせて、この人にとって外せない条件=配慮も拾っておきます。
「面倒くさい」で止めずに、「なぜ?」を2回足してみてください。「同僚に読まれるから、浅いと思われたくない」みたいな本当の課題が出てきます👌

このステップでやるのは、ユーザーの利用シーンから考えた「理想状態」をプロトタイプという形にすることです。
STEP1で見つけた課題と配慮を軸に、ユーザーの理想的な行動や状態のアイデアを考えます。それを頭の中に置いたままにせず、プロトタイプで具体的な形にしていきます。
アイデアって、言葉だけでは検討できないんですね。体験できる形になっていないからです。アイデアを確認するには、実際に近いものを触ってチェックするほうが精度が高くなります。
なのでこのステップでは、「この人にとって理想的な状態はなんだろう」というアイデアを考えて、言葉のまま判断せずに、体験できるプロトタイプにします。次のSTEP3で、これを実際に触りながらアイデアの妥当性や詰めるべきポイントを確認していきます。

いきなり画面を考える前に、課題が解けたときこの人はどんな気持ちで、どう動いているのかを先に描きます。これが「理想体験」で、作るもののゴールイメージになります。
機能の名前はまだ出てこなくて大丈夫です。「書き途中でも出していいと思えている」みたいな、その人の状態と流れを言葉にします。
理想体験を実現するUIのアイデアを、方向性の違う3つ作ります。
出したアイデアをプロトタイプ(触れる実物)にします。作り込みはいりません。行動の流れの中で「ここが変われば全部変わる」というコアの部分だけ触れれば十分です。
👉このプロトタイプは答えではなく、方向性が当たっているかを確かめるための道具です。それを確かめるのが次のステップです。

このステップでは、作成したプロトタイプを評価します。ただ、アイデアそのものの良し悪しを判断するというより、ここまで考えてきた利用シーン・課題と配慮・理想状態が具体化できていて、この解決策が妥当なのか。その方向性を確認します。
言い換えると、判断するフェーズというより、さらに良くするためのポイントを学ぶフェーズです。
作って終わりにしないためです。ここまでの流れを踏まえられているか、今のペルソナの理解は十分なのかをチェックすることで、全体の方向性が正しいかを確認できます。
なので見るのは「自分のアイデアが良いかどうか」ではありません。利用シーン・課題と配慮・理想の体験の流れという「デザイン要件」をもとに、目的に対して成果が出るかで考える。改善できる箇所、より良くできる箇所、ずれている箇所を確認して、自分の認識をさらに具体的にしていくフェーズです。
やることは、画面を眺めることではなく、ユーザーの体験を最初から最後までシミュレーションすることです。プロトタイプを実際に触りながら、「この人は、この流れで理想の状態になれるか?」を確認します。
シミュレーションしてズレを感じた場所が、改善点です。「課題の捉え方が浅かった」「利用シーンが広すぎた」みたいに、前のステップの見直しポイントとして出てくることも多いです。それで大丈夫です。
👉まとめた改善点を持って、次のサイクルに入ります。

この進め方のポイントは、一つずつのステップを完璧にこなすことではありません。とにかくアイデアを出して、整理して、一回回してみることです。アイデアという抽象的な概念と、それを形にした具体的なもの。この2つを行き来する「一周」を回すことが、とても大事になります。
STEP3は「学ぶフェーズ」だと書いた通り、この流れはステップごとに完璧にクリアしていくものではなく、アイデアと具体を行き来しながら、自分の解像度をどんどん上げていくためのものです。
なので、「アイデアが出ないからプロトタイプを作らない」「アイデアが完璧かどうかわからないから先に進めない」は間違いです。必ずやってはいけません。
デザインは、答えがないところからスタートします。だから、こういう探索のフェーズを挟む進め方が基本になります。正解がない中で正解を見つけていくには、アイデアと具体を行き来して、自分の解像度を上げていくフローが必要なんですね。
3ステップを1回やればOKでもないし、各ステップを完璧にこなして進めていくものでもありません。考えて、形にして、評価して、またさらに考えていく。 このサイクルで自分のデザインのクオリティと解像度を上げていくのがポイントです💡
ここまでが進め方の全体像です。
次のコンテンツで、実際に取り組むお題と、トレーニングの流れ・所要時間・身につくことを確認できます。「何を作るのか」が決まると、この3ステップは一気に自分ごとになるので、まずはそこから見てみてください。