
ペルソナ中心のUIデザイン

このセッションでやるのは、解決策を決める手前で立ち止まることです。課題と配慮から、理想の体験を考えて、触って確かめられるプロトタイプにするところまでを一周します。
課題が見えたところで、いきなりアイデアを形にしてしまう人もいます。ただ、それだと思いつきの案になる可能性が上がります。作り始めてから「この方向でいいんだっけ?」と、曖昧になることもあります。
そこでこのセッションでは、まず課題に対して、どういう体験ならユーザーにとって良いのか、達成したい状態を定義します。その状態を目指すために何を作ればいいのかを整理して、プロトタイプで具体化して試す。これがこのパートの役割です。
ここで作るのは、答えではありません。「今考えている方向で合っていそうか」を確かめるための、触れるサンプルです。次のセッション3で、このプロトタイプを実際に触って確認します。
このプロトタイプの背景として、次の3つも手元に残ります。
これが揃えば、セッション3に進めます。
今回のお題「BookShelfの投稿体験の提案」で言うと、この回でつくるのは提案の3番目、解決アイデアとプロトタイプです。
セッション1では「誰が、どんな場面で、何に引っかかるのか」を決めました。手元にある利用シーン、ユーザーのゴール、行動フロー、課題と配慮が、そのままこのセッションの材料になります。まだ手元にない人は、先にセッション1を終わらせてから来てください。
自分のお題で進める人へ
やることは同じです。セッション1で出した課題と配慮を用意して入ってください。「作りたいものは決まっている」という場合も、いったんその案は脇に置いて、課題と配慮から出し直してみてください。同じ案に戻ってきたなら、それは根拠のある案になっています。
やることは5つです。
全部で6時間半くらいを想定しています。このトレーニングで一番ボリュームのあるセッションです。プロトタイプ作成だけで4時間ほどかかるので、1〜4と5で日を分けて進めてかまいません。
流れの大事なところは、アイデアからいきなり画面に行かないことです。間に「理想体験」と「デザイン要件」を挟むことで、作ったものを後から「ちゃんと狙った体験になっているか」と見直せるようになります。
このセッションのアウトプットは、3つのことで質が決まります。先に言っておきます。
アイデアを出すとき、つい「自分が作りたいもの」「便利そうな機能」から入りがちです。軸にするのは、セッション1で出した課題と配慮です。
❌ 「タイムラインを作る」
✅ 「社員が自由に、本について書き込める」
上は機能の名前です。書いた瞬間に、タイムラインを作る話になって発想が広がらなくなります。下のように「どんな状態になるか」で書くと、ほかのやり方も出せます。
アイデアが浮かぶと、すぐ画面にしたくなります。
❌ アイデアが浮かんだ → すぐUIにする
✅ アイデアが浮かんだ → どういう体験なら実現されるのかを書く → UIにする
間に1枚挟むだけで、出てくるものが変わります。ここを飛ばすと、動くものはできても、課題に効いているかが分からなくなります。
「これが良さそう」と1つに決めて作り始めると、その案が本当に良いのか判断できません。単体で良し悪しを評価するのは、経験がないと難しいからです。
方向の違う3つを並べて作ると、違いが見えて、「なぜこっちのほうが良いのか」を言葉にできるようになります。ダメだと思っていた案が意外と良かった、という発見もここで起きます。
ここも、手が止まりやすいセッションです。アイデアがなかなか出ない、機能の話に戻ってしまう、3パターンの違いを出しにくい。どれも普通のことなので、止まったまま相談してください。できてから聞く必要はないです。
セッションの最後に「機能をデザインしていないか?」を確かめるチェックポイントがあります。全部クリアしないと次に進めない、というものではありません。
では、始めましょう。